スケーリング・アップ:ヴァーン・ハーニッシュ著

スケーリング・アップ

はらいかわてつやです。

起業したばかりの頃は、まず経営を軌道に乗せることに懸命でしょう。

でも、順調に経営を始めると、会社が直面する新たな問題があります。

それは、会社が大きくなってきたのに人材が足りない、組織力が弱い、収益が思うように伸ばせないという問題です。

そこで、今回は、会社を大きくして収益を上げていくためのポイントを押さえた経営本をご紹介しましょう。

スケーリング・アップ2

起業直後と成長後に直面する問題は根本が違う?!
会社の経営は、起業したばかりの頃と、成長した後では、直面する問題に大きな違いがあります。当初は、1人、あるいは数人で情報を共有しながら気楽に話し合い、機敏に諸問題に対応できていたものが、会社の規模が大きくなると、同じ方法では回らなくなります。収益は、横ばいではなく、2倍、3倍とふくらませていくのが理想なのに、当初のままの経営スタイルでは、人材も不足し、実行力もキャッシュもともなわないのです。では、何をすれば問題が解決するのでしょうか?

『スケーリング・アップ』の特徴
ヴァーン・ハーニッシュによる『スケーリング・アップ』は、成長している会社に生じる問題に、総合的に応えてくれる画期的な本です。「スケーリング・アップ」とは規模を拡大するという意味です。
本書は、「1枚の経営ツール」によって、会社の成長をスムーズに伸ばしていけると考えています。これは、「1ページ戦略計画」と呼ばれています。戦略とは、経営の目的を指します。戦略を明確にし、それを社員が理解していれば、それに向かって全員で一歩一歩進めば良いのです。

本書のコンセプトが有効であることは、多くの経営者からの賛同を得ています。
アメリカのビジネスをリードする人々から、「もうほかの本を探す必要はない(ジャック・スタック)」、「社員全員でこの本を読めば、成長への力が何倍にもなる(リズ・ワイマン)」、「何千ものビジネス書を読んできたが、これは間違いなくトップ10に入る(ジョン・スベンス)」という、賞賛する声が寄せられています。

このような賞賛の背景には、成長している会社が抱えている問題点を4つに分け、それぞれの解決法を手際よく提示しているという、本書のすぐれた実践書としての性格があるでしょう。重要なポイントが押さえられているので、この1冊があれば経営に迷わずに済むようになるのです。

成長している会社が直面する4つの問題
本書が中心に据えている4つの問題とは、人材が集まらず活用できないこと、有効な戦略がないこと、やりたいことはあるが実行できないこと、売上げが増えたのにキャッシュフローが悪いことの4つです。本書におけるそれぞれの解消法はこちら。

(1)人材:1ページ個人計画表、および部署と責任者一覧表、プロセス責任者一覧表を使います。優秀な人材を獲得し、社員のやる気を維持する方法が示されています。

(2)戦略:社内の人材を活かす方法、業界で成功する戦略的枠組みが丁寧に述べられ、ビジョン要約書の使い方が示されます。

(3)実行:ロックフェラー式の10の習慣が提示され、社員全員が1つの戦略に向かい、ハイパフォーマンスを生みだす方法が述べられています。

(4)キャッシュ:適切な利益目標、正しいキャッシュフローとその方法等、会計機能を改善する方法が具体的に示されています。

本書を読めば、今、会社が直面している問題の解決策が具体的に手に入るでしょう。大判で分厚い本ですが、その中に経営のヒントが詰め込まれています。
今の状況を打破したいと思っていたら、本書の4つの問題のうち、いちばん解決したい問題の章(Part)から読み始めて下さい。会社のトラブルを解決し、収益を2倍、3倍にスムーズに押し上げていくきっかけになることでしょう。

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著者について
起業家機構(EO)は、年商が100万ドルを超える会社の若手起業家のための世界的ネットワークです。2015年現在、48カ国、1万人以上のメンバーによって構成され、日本支部は1995年に設立され、200名を超える起業家が在籍しています。
本書の著者、ヴァーン・ハーニッシュは、EOの創設者であり、EOがマサチューセッツ工科大学で実施しているCEOプログラムの代表を長年務めていました。幹部教育とコーチングの国際的企業ガゼルの創業者でCEOでもあります。
起業家教育の専門家としての長年の経験を活かし、本書が執筆されたということですから、その中身にも起業家が必要とするノウハウが詰め込まれているのは当然ですね。

本書の構成
本書の構成は以下の通りです。マインドセットの序章で始まり、本論は4つの問題をそれぞれ扱う4章で簡潔に構成されています。末尾には、「次のステップ」と「参考文献」も付されており、長く活用できる配慮もなされています。

INTRODUCTION
成長企業の魔法の杖
リーダーを手助けするツールと習慣

PART0 成長の壁を超えて
CHAPTER1 下準備 「4つの決断」人材、戦略、実行、キャッシュ
CHAPTER2 成長の壁 舵取りの3つの鍵 リーダーシップ、インフラ、市場の動向

PART1 人材
CHAPTER3 リーダー ボトルネックに対処する
CHAPTER4 チーム トップグレーディング法で、 優秀な人材を獲得する
CHAPTER5 マネジャー 偉大なマネジャーが行なう5つの活動

PART2 戦略
CHAPTER6 コア 社内の人材システムを機能させる8つの方法
CHAPTER7  戦略の7階層 業界を支配するための戦略的枠組み
CHAPTER8 1ページ戦略計画 あなたのビジョンを1ページにまとめる

PART3 実行
CHAPTER9 優先課題 全員が1つの目標に集中することの力
CHAPTER10 データ リーダーの先を読む力を養う
CHAPTER11 会議のリズム パフォーマンスの中心に置いて力と結束を生み出す

PART4 キャッシュ
CHAPTER12 キャッシュ 成長を持続させる燃料に火をつける
CHAPTER13 会計 CEOの決断を助ける会計機能強化の方法
CHAPTER14 パワー・オブ・ワン 7つのテコとキャッシュで成長を加速する

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