ザ・ストーリー ロバート・マッキー著

会社の経営や営業、交友関係、家庭など、あなたを取り巻く状況に共通して、あると便利なスキルは何であるか知っていますか?あるスキルを身につけていると、自分が希望する方向に周囲の人の気持ちを動かすことができます。
それは、ストーリー・テリングという手法です。
今回は、ストーリー・テリングの権威によるベストセラー本をご紹介しましょう。

◆ストーリー・テリングを学ぶ最良の教科書『ザ・ストーリー』
『ザ・ストーリー』は、ハリウッドの脚本家が教科書としている、ストーリー・テリングのバイブルとなる本です。

一般的に、人はおもしろい話には釘付けになりますが、売り込みには消極的で、避けられてしまうことさえあります。でも、売り込みがステキな物語に姿を変えて語られたら、気づかないうちに魅了され、購入のボタンを押してしまうのです。

この本には、「ストーリーノミクス」(storynomics)と呼ばれる、人を引き付ける物語を語る方法が書かれており、本書をマスターすれば、人を魅了する話し方が身につきます。

具体的には、ストーリーを通じてマーケティングメッセージを効果的に伝えられるようになりますし、難しいコンセプトもストーリーを通じて分かりやすく、かつ強力に伝達する技術が得られるでしょう。

このスキルを効果的に使えば、見込み客の気持ちを動かす、従業員のやる気を引き出す、営業で成果を挙げる、プレゼンテーションで商品を印象付ける、なども思いのままにできるようになるでしょう。

でも、ありきたりなシナリオの書き方ではこうは行きません。強力なスキルを公開している本書には、著者のたぐいまれな才能と知識が詰まっています。
まずは、著者の来歴からチェックしてみましょう。

◆著者ロバート・マッキーについて
著者のロバート・マッキーは、1941年生まれのアメリカの著名なシナリオ講師です。
アメリカの映画やテレビ産業の中心地で、メジャースタジオのコンサルタントおよびシナリオのセミナー講師をしています。

著者は、1984年から累計10万人を超える人々にセミナーを行っており、30年間の受講者からは、35名のアカデミー賞受賞者、164名のエミー賞受賞者が輩出されています。
セミナーは、アメリカだけでなく、ヨーロッパ、アジア、南米、中東、オセアニアという世界中で行われています。

著者のセミナーは、1回約5万円(450ドル)だそうですが、本書はそのセミナーの内容が凝縮されています。発売以来、19か国語に翻訳されており、日本でも翻訳が期待されていました。当初、出版社の関係したトラブルにより出版が絶望的になりましたが、2015年にダイレクト出版が版権を取得し、満を持して翻訳書が出版される運びとなりました。

◆ストーリー・テリングのスキルを身につけるには
ストーリー・テリングのスキルは、いちど身につけてしまえば、多方面で活用することができます。

営業においては商談を成立させるのに使えますし、顧客の購買意欲を掻き立てるためにも使えます。これは、話術だけでなく、セールスコピーにも当てはまりますから、ネットを駆使した商売においても、十分に役に立ちます。また、友人や家庭では、自分の希望通りに事を進めたい時に活用できます。

このように便利なスキルを身につけるには、本書の章立てに沿って内容を理解し、実践していくことで容易に可能になります。

本書は、懇切丁寧にストーリー・テリングの手法を公開しています。
著者によれば、どんな些細な出来事にもストーリーが隠されていると言うのです。
第1部の導入に続き、第2部では、ストーリーの基本的な知識や語り方が丁寧に説き明かされます。
第3部では、ストーリーのデザインに着目し、具体的な観客の引き付け方が述べられています。
第4部では、脚本の書き方の秘訣が語られています。

さすがに、ストーリー・テリングの権威による本だけあって、盛りだくさんな内容が手順良くまとめられています。

そして、著者は、末尾の「フェード・アウト」において、「毎日書くこと」を推奨しています。やはり、どんなに効果的なスキルも毎日の練習があってこそ身に付き、磨かれるものなのでしょう。

ロサンゼルス・タイムズ紙によれば、ストーリー・テリングに関して、著者の優れた洞察と知識は右に出るものはいないとのこと。

ストーリー・テリングは、いちど身につければ、何にでも応用できる自分の財産になるスキルです。ぜひ超一流の先生から身につけてみて下さい。
本書を学べば、真似事のシナリオ作成の技術ではなく、本質的な語り方を身につけることができるでしょう。あらゆることに応用できる、本物のスキルが身につくはずです。

そしてもうひとつ。本書を読むと、映画やテレビのヒット作の裏側が読めるようになります。ストーリー・テリングの構図が透けて見えてくるようになると、映画やテレビの楽しみ方も変わってくるかもしれませんね。

◆本書の構成
INTRODUCTION 型破り脚本術

PART1 脚本家とストーリーという芸術
CHAPTER1 ストーリーは「生きる」こと 脚本家はつねに人間の真実を探求せよ!

PART2 ストーリーの構造
CHAPTER2 構成のスペクトラム 主人公の人生をいかに魅力的に語るか
CHAPTER3 物語世界を創造する ストーリーについての知識と理解が必要だ
CHAPTER4 ジャンルと決まりごと 脚本家が学ばなければならない「型」の基本
CHAPTER5 構成とキャラクター 登場人物はプレッシャー下でどんな選択をするか
CHAPTER6 思考と感情のデザイン 芸術が意味と感情を結びつける

PART3 デザインと発想の原則
CHAPTER7 ストーリーの本質 脚本家は主人公の中心に自らを置く
CHAPTER8 インサイティング・インシデント ストーリーの5つのパートの発端
CHAPTER9 困難の連鎖 葛藤によって幕をデザインする
CHAPTER10 シーンをデザインする ターニングポイント、セットアップ/ペイオフ、感情、選択の役割
CHAPTER11 シーンの分析 適切な質問によって構造を明らかにする
CHAPTER12 コンポジション 映画を成立させるためのルール
CHAPTER13 危機、クライマックス、解決 ストーリーを構成する残りの転換点

PART4 脚本の執筆
CHAPTER14 敵対者の原則 最も重要なのに最も理解されていないこと
CHAPTER15 状況説明 顧客にすべてを明らかにする必要はない
CHAPTER16 問題と解決策 脚本のよくある8つの問題
CHAPTER17 登場人物 脚本家は登場人物の中に入る心の虫である
CHAPTER18 脚本の実際 頭の中を映像が流れる脚本を目指す
CHAPTER19 プロの流儀 成功する人としない人の分かれ目
EPILOGUE フェードアウト 夢の実現に大きく近づいたあなたに
推薦図書