無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい

無印良品は、仕組みが9割

優秀な店員を異動させた後も売れる仕組みをキープできたら、売り上げを落とすことなく事業をもっと成長させることができるでしょう。その売れる仕組みづくりに成功した会社があります。シンプルなデザインで女性にも男性にも人気のブランド「無印良品」が、その会社です。無印良品の長期にわたる人気の背景にある、すぐれたノウハウが分かる1冊をご紹介しましょう。

『無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい』が生まれた背景

本書は、無印良品の経営と販売の仕組みを公開したものです。企業秘密とも言えるような内容を、なぜ本に著したかと言えば、それは、無印良品のすぐれたノウハウを、不振にあえぐほかの企業にも参考にしてほしい、という著者の思いがあったからにほかなりません。

本書は、かつて不振にあえいだ無印良品が一体どのようにして回復したのか、その秘密が明かされています。経営も販売も今ひとつうまくいかない、そんな企業にとっては、本書は大いに役に立つ本となるでしょう。

著者について

著者の松井忠三は、現在、株式会社良品計画の会長です。西友ストアーから92年に無印良品に入社し、総務人事部長、無印良品事業部長を経て、2001年に社長に就任しました。赤字状態の組織を改善し、2007年には過去最高の売り上げを記録しました。2008年以降は、会長として、無印良品の仕組みづくりに継続して貢献しています。

無印良品の仕組みとは

無印良品には、店舗用と本部用の2種類のマニュアルがあります。これが、無印良品の仕組みの大きなポイントになります。中でも、店舗用のマニュアルは2000ページにも及ぶ分厚いものです。

徹底してマニュアルに沿った仕事をする目的は、「個人の経験や勘に頼っていた業務を“仕組み化“し、ノウハウとして蓄積させる」ことだそうです。

マニュアルは、新入社員でも使える内容になっています。マネキンの洋服のコーディネートなども、本格的に勉強すれば覚えることが大量にありますが、マニュアルでは1ページに収め、初心者でも業務がこなせるように配慮されています。

効率を上げるために情報を共有する

無印良品では、本部の仕事も効率よく行うことを目指しています。会議は短時間で済ませる、情報は社員で共有できるようにする、といった、さまざまな仕組みが構築されています。
たとえば、誰の机にも入っていそうな文房具は、共有できるように部屋の1か所にまとめ、探さずに済むようにします。
紙媒体の書類は最低限に抑え、取引先の名刺もPC上で情報を共有し、こちらも誰でも必要な時に参照できるようにします。

こうして、仕事のすみずみまでをマニュアルに明文化し、情報をデジタル化して効率化しておくと、どんな時も誰が担当になっても同じサービスを提供できます。店長が変わったり、有能な社員が転勤でいなくなっても、高い水準をキープしたまま業務を続けられるのです。

他社から学ぶ姿勢

本書では、無印良品が会社を立て直すにあたって、ほかの会社の長所を学んで積極的に取り入れたことも、正直に述べられています。
衣料品販売のしまむらのタグの種類がきわめて少ないことを知り、見習って半分以下に減らしてコスト削減につながった話や、キャノンに学び、挨拶を定着させた話などが紹介されています。そういったエピソードからは、他社と積極的に交流し、自社の問題点を謙虚に受け止め、他社を見習って改善するという、おごらない姿勢が見てとれます。

無印良品の仕組みのメリット

無印良品のマニュアルを初めとするさまざまな仕組みは、じつは一般的にも当てはまる内容を含んでいます。著者は最後に、家庭における家事もマニュアル化して家族のだれでもできるようにする、という提案まで示しています。
つまり、無印良品の仕組みは、会社の規模を問わず使える仕組みであり、ひいてはプライベートな家庭においても、役立つという、普遍的なメリットがあると言えそうです。

また、マニュアル主義は敬遠されがちですが、本書によると、マニュアルは大きく飛躍するための必須条件と言えます。
無駄に思えるような細かい事柄を明文化してマニュアルにすることは、決してロボットのような作業員を作り出すことではありません。マニュアルは、それに従えば誰でも一定の水準を満たす仕事ができるという信頼のおけるものであり、マニュアル通りに無駄なく仕事をし、最大限に成果を発揮できるものなのです。

今の会社の経営や販売が思うように伸びない、人の配置が変わったら売り上げが落ちてしまった、という会社には、無印良品の仕組みはきっと役に立つでしょう。無印良品は、苦境にあった時、他社の長所を取り入れて立ち直りました。今度はあなたが無印良品の仕組みを利用して大きく飛躍してみませんか?

本書の構成

序章 なぜ無印良品には“2000ページのマニュアル”があるのか―「標準」なければ「改善」なし
1章 売上げとモチベーションが「V字回復する」仕組み―「人を変える」ではなく、「仕組みをつくる」
2章 決まったことを、決まったとおり、キチンとやる―「経験」と「勘」を排除せよ
3章 会社を強くするための「シンプルで、簡単なこと」―「他者」と「他社」から学ぶ
4章 この仕組みで「生産性を3倍にできる」―「むくわれない努力」をなくす法
5章 自分の仕事を「仕組み化する力」をつくろう―「基本」があれば「応用」できる